[PR]2010生年月日で占い鑑定:初回無料!プロの占い師が鑑定
TOPメニュー>もらいもの>雪の降る夜に……
雪の降る夜に……
家の窓から少年が外を見ていた。
少年の目に写る光景は、夜の世界に溶け込んでいく雪の結晶達……
雪の結晶達は、時間が経つ度に目に写る世界を白く変化させていた。
そして、アスファルトの色が消える頃、少年は家を出た。
少年は、積もり始めた雪の上を、足跡を付けながら歩いていた。
曇っている空を見上げながら少年は呟いた……
「いつ帰って来るんだよ……」
少年は、そう呟いた後にため息を一つした。
そして、また空を見上げながら歩く少年。
何時しか、学校に到着していた。
学校を見上げる少年。
そして、そのまま学校に少年は入って行った。
学校の警備員に許可を貰い、少年は校舎の屋上へと上った。
屋上は、新しく積もった雪でいっぱいだった。
屋上に設置してある椅子にとまどいもなく向かって歩き出した。
ここは、少女との約束の場所。
少女と別れた少年は、毎日この場所へ来ていた。
「早く帰って来いよ……。父さんも母さんも待ってるんだぞ。俺だって……」
少年は1人呟くと、また空を見上げた……
ある日、それは唐突にやって来た。
少女と少年が学校の帰り道に話していた。
「ねー、健太」
「あん?」
「あのね、あたしね……」
少女は、話しづらそうに語り始めた。
少年……健太は、その様子を見て何かを感じたのか、
少女の緊張をほごす様に言った。
「どうしたん?何かあったのか?」
少女は意を決めたかの様に話始めた。
「あたしね、自分の国に戻らないと行けなくなったの……」
「え……」
その言葉に驚く健太。
「だって、高校卒業までこっちにいれるんじゃなかったのか!?」
多少、語気が荒くなるが、なるべく優しく問いかけた。
「あたしだってそう思ってたよ!でも……」
少女はそう言って、黙り込む。
健太は、全容を知りたくあえて少女に聞いた。
「凛、どう言う事なの?人間の住む世界はやっぱり合わないの?」
「そんな事ない!!だって、健太のお父さんだってお母さんだって優しいし、友達だって出来たし……。それに、健太と離れたくない……」
「ならなんで?」
最後の言葉で健太は顔が真っ赤になっていたが、健太はあくまでも優しく、本当に優しく問いかけた。
「あたしのお父さん知ってるよね?」
「あー、あの無敵っぽい体格でヤクザみたいなオヤジさんな?」
「うん。それで、お父さんが人間界にいるのは危ないから、帰って来いってうるさいの」
「まぁー、あのオヤジはな……。子煩悩すぎるし……」
「それで、上の人間が、強制送還させる事でお父さんを納得させたみたいで、あたしに拒否権はないみたい……」
そう言うと少女……凛は、また俯き始めた。
「そんな……」
健太は、ちょっと考えて言葉を発した。
「だったら、俺が直談判してやるよ!」
「無理だよ……」
即答だった。
「強制送還は、明日だもん……」
「マジかよ……」
黙り込む健太と凛。
健太は、どう言う事情でこんな話になったのかを詳しく聞いた。
凛は空に浮かんでいると言う国の者だった。
とある事情で、人間界に降りていた凛と健太が出会い、付き合う関係まで行ったのだが、付き合ってからは、まだそんなに日がたっていない。
父親に健太との関係がバレてしまい、父親が激怒したみたいだった。
その父親は、国の上層部と繋がりがあるらしく、今回の件も暴れ出したら物が壊されると言う事だけで、父親の元に凛を戻すと言う事で話が付いたのだった。
その事を凛が知ったのは、強制送還の前日。
つまり、今朝と言う事だ。
「本当に暴れ馬だな。凛のオヤジさんって……」
「何て言うか、ただの我侭だよ……」
凛はそう言うと、苦笑いを浮かべた。
凛のその表情を見ながら、健太は考えていた。
どうやったら、凛を守れるか……
一国を相手に、個人が駄々をこねたって無理な話である。
であれば、敵国に凛が行く訳ではないから、危険が及ぶ事もない。
子煩悩な父親の元に帰るだけだ。
けど、凛とは離れたくない。
自分に出来る事って何だろう……
健太は、必死で考えていた。
それを見ていた凛が、辛い表情の健太を見据えながら言葉を発した。
「健太、どうしたの?」
「凛!」
凛の言葉と同時に凛の名前を呼ぶ健太。
「なに?」
それにちょっと驚きながら返事を返す凛。
「俺は絶対に帰ってくるのを待ってる!何時までもずっと!!」
健太が考え出した答えは、待ってると言う事だった。
向こうで辛い事が起きても、待ってる人がいるのは心強い。
健太自身もそうだから……
だから離れていても守れると、自己満足かもしれないが健太はそう思ったのだ。
「健太……ありがとう……」
「だから、いつでも帰って来いよ」
「うん……。あたしもお父さんを説得して必ず戻るから……」
凛は泣きながら健太に抱きついた。
健太は照れていたが、凛が落ち着くまで抱きしめたのだった。
そして時間が経ち、凛は空へと帰って行った……
別れてから、数ヶ月がたった。
そして、季節は冬。
毎日同じ場所で、凛を待ち続けてる健太の姿があった。
凛は元気にしてるのだろうか……
そんな事を思い続けてる健太の心がそこにはあった。
「ふぅ……。今日の空は雲が厚いな……」
雪を払おうともせず、空を見上げる健太。
またため息を一つした。
凛と別れてからは、手紙のやり取りも出来ず、携帯のメールなんてもってのほかだ。
凛の所まで携帯の電波が届く訳もなく、いくらメールを送ったとしても、返事が帰ってくる事はないのだ。
健太が凛に携帯を買って上げているので、携帯が止まる事はない。
凛が、いつ帰ってきても言い様に、使用料は払い続けていた。
メールが届かないと知っていても、健太はメールに自分の気持ちを打っていた。
その日、健太に何が起きてどんな事をしたかなど、日記風にメール書いていた。
そして、送信ボタンを押す。
それを毎日の様に繰り返していた。
そして、今日も学校の屋上で待ちながらメールを打つ。
それが健太の日課にもなっていた。
健太が暫くして、携帯から目を離して空を見上げた。
先ほど降っていた雪は止んでおり、雲の隙間から月の明かりや、星ぼしの光が灯っていた。
そして、また携帯に目を移す。
健太はメールの続きを打ち始めたのだった。
そして、また雪が降り始めた。
「よしっと……」
そう、自分に言い聞かす様に言葉を発し、送信ボタンを押した。
その時だった。
今まで、自分に向かって落ちて来ていた雪が自分の周りに落ちなくなったのを感じた。
違和感を感じた健太は、周りを見回した。
確かに、周りには雪が降っている。
しかし、自分の頭の上には雪が降ってきていない。
そして、上を見上げたと同時に、メールの着信音がなった。
それは、健太の物ではなかった。
「うそ……」
健太は、声が途切れそうに言った。
自分の上には凛がいた。
携帯の画面を見ながら降りてくる凛の姿があった。
凛の周りには淡い光が道を作っている様に見えた。
その上を凛が歩いて降りてくる。
まさに幻想的な光景だった。
凛は、健太にまだ気付いてない様子だった。
健太は声を出したくても、ずっと寒いところに居た為か、なかなか声が出せないでいる。
そして、携帯を見ながら時おり笑顔を見せる凛。
健太は、椅子から立ち上がり、光の降りてくる場所へと走った。
学校から出ると警備員に鍵を返し、光の終着地点へと息を切らしながら走っていった。
警備員には光の道が見えていないのか、健太の行動がおかしな物に見えた。
健太は、何も考えずに走った。
ただただ、光の終わりを目指して……
そこには、凛がいる。
凛と会える!
それしか健太の頭の中にはなかった。
数分後、健太が着いた場所は、自宅の前だった。
そこには、丁度、光の道から雪の積もったアスファルトへ足を動かそうとしている凛がいた。
走ってきたおかげか、健太は体が温かくなっていた。
「凛!!!!!!!」
周りの家の事など考えず、ただ、自分の言葉を大声で話す健太。
そして、その声に気付き、振り向いた凛の姿がそこにはあった。
凛の表情は、徐々に崩れていき、涙を流しながら、健太の側まで走った。
「健太……」
そして、2人はそのまま抱き合った……
その時の2人には言葉は必要なかった。
泣く凛に対して、大事に優しく抱擁する健太の姿があった。
ちょっとして、健太のメール着信音が鳴った。
2人が離れ携帯を見ようとした時、凛が笑った。
着信は凛からだった。
メールの着信件数が、60通を超えている。
健太も笑った。
やっている事は同じだった。
健太も凛も同じ事をやっていたのだ。
ただそれが、携帯の電波があるかないかの違いだった。
そして、健太は携帯を一度ポケットに閉まった。
そのまま凛に向き直し、口を開いた。
「おかえり」
「ただいま」
2人とも優しい口調だった。
長年付き添っているのではないかと思わせるぐらいの優しさだった。
健太はおもむろに手を差し出し、凛はその手を取って歩き出した。
自分達の家に向かって……
夢月 紫音
コメント
初ジャンル……、こんなSSでごめんなさい(涙
もらいもの
TOPメニュー