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灰色の雨音4
電車を降りると、すでに先輩の姿があった。
駅のホームにあるベンチに座って、本を読んでいる。彼の横には、ベージュのカサ。私がプレゼントしたカサ。
空気のもれる音とともに電車のドアが閉まる。そのまま電車はさびしそうな声をあげて去っていった。
「…………」
……ポツ――ポツ……ポッ――ツ
静かに降る雨をいろどる、水が雨樋を伝って落ちる音。
両手でバッグを持ったまま、私は立ちつくした。キュッとバッグをにぎりしめる。
ひさびさに会ったのに、言いたいことがいっぱいあったのに……。先輩を目の前にしたとたん、何を言えばいいのか――なんて声をかければいいのかすらもわからなくなった。
……ポツ
小さく深呼吸して、一歩踏み出した。お気に入りのスニーカーがしっとりとしたホームを踏みしめる。
一歩……一歩……
両足をそろえて、先輩のまえに立った。それでも、先輩はきづかない。
「…………」
小さな息遣いが聞こえてくる。かすかに、ゆっくりと上下する肩。
小さな声をかけながら、先輩の顔をのぞきこんだ。
「先輩?」
はしゃぎすぎて眠っている子供のような、穏やかな顔。
ふぅー……と息をはいて、彼の横にあさくかけた。バッグをひさの上へ置いて――
「あっ……」
カサがない。さっきまであったカサが……。
電車の消えていった方を見つめた。線路のわきで白っぽい紫陽花が雨を受けて笑っていた。紫陽花をにらむ。
……ポツ……ポツ
それでも、雨の向こうで紫陽花は笑っていた。
座りなおして、足をなげだした。
まあいいか。先輩のカサに入れてもらおう。帰るときにまだ降っていたら、明日は大学も休みだし、先輩のところに……。
寝顔を見つめながら、わたしは雨の子守唄を聞いていた。
――あとがき
実は先輩は寝てたんじゃなくて、死んでたんです! とはならないので安心を? かえでです。
更新のペースがまた遅くなってすみません。でも、今回は二ヵ月しかあけてないよ!(マテ
ということで、某ヤマト氏(言ってるじゃん?)に負けないようにがんばらなくては!
ちなみに、今回はあえて先輩を動かさないでみました。こういうのはどうなんだろ?
では、できるだけ近いうちに更新します。
2005年11月27日 桜月楓
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