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朱色の刀
黄金色の月が雲に隠れた。月明かりがなくなり、二人の姿も隠れてしまう。
「どうしても、やるって言うの?」
「そのために来たんだ……」
ふたたび月光が地上を照らした。砂上を穏やかに月光が照らす。打ち寄せる波が、淡くきらめく。
そして、鞘から解き放たれた鋼が鈍く光っていた。
「……俺かおまえが死なないと、香澄が死ぬ」
「嫌な選択肢だよね」
「まったくだ」
刀を構えた少年が目を閉じた。
海の音色が聞こえてくる。ザァァー……ザァァァーと、波が砂浜にうちよせる音。
同時に懐かしい潮の匂いを大きく吸う。五年前に捨てた町の匂い。
「あたしは……まだ死にたくないな」
「…………」
少女の声を聞き、少年はそっと目を開けた。ブレザーの少女が両手を大きく広げて月光を浴びていた。持ってきたはずの刀は見えない。
「ごめんね、淳君。あたしは、まだ死にたくないの……。だから、どうしてもやるって言うなら……」
「……あぁ」
小さくうなずき、ジャリッと音を立てて、少年は砂を踏みしめた。切っ先を後ろにして、体の横に刀を構える。
少女は思い切り近くの砂を蹴り上げた。パァッと砂が散って、一瞬だけ少女の姿が見えにくくなった。
その瞬間、少年は後ろに大きく跳んだ。刹那の間をおかずに、少女の刀が少年のいた場所を薙いだ。
「蘭……」
涙をこぼす少女の瞳を見据え、少年が刀を振った。同時に、少女の刀が跳ね上がる。
……ヒュュ!
刹那の風を切る音。少年の刀は、少女の腕を浅く切ったに過ぎなかった。少女の刀は……少年の腕を切り落としていた。
「淳君……なんで止めたの。わざと死ぬつもりだったの?」
「…………」
さざなみが押し寄せる砂浜で、二人はたたずんだ。砂を踏みしめるような音をたてて、少女の刀が砂に落ちた。
倒れ掛かってきた少年のことを抱きしめ、少女は目をつむった。その拍子に、ひときわ太く、雫が頬をながれた。
――あとがき
あら不思議、昨日更新したばかりなのに。かえでです。
いあー、こんなシーン書きたいなー、っていうのを何も考えずに書いみました。もっと考えながら書けって話ですね、ハハン。前後は脳内で補完してください(コラ
因みに、もっと書きたかった。伸ばして、心理・情景描写、どっちももっと細かくして。でも、ここって1000文字の予定だから……。てか、最初に書いたときは、エンドも違ったし。修正して短くしてこうなったー。ほぼ毎回、1.5倍近くまでオーバーしているけど。修正したら……1200ない!? まだ書けたじゃん!(ぇ
さて、今日(あとがき書いてたら日付かわったから昨日?)はめずらしく朝から晩まで小説を書いていました。まあ、ご飯の時間以外ですけれど? もう、十分だよね?
さぁーって、次はいつ更新できるかなー。
2005年11月28日 桜月楓
超短編小説
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