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白い星々の剣


 天を見上げれば、落ちてきそうなほど迫った空があった。無数の星がきらめき、今にも音をたてて落ちてきそうな圧迫感。
 彼は白い息をはきながら、空を見つめていた。静かに、涙を流しながら。
「ユークリッヒ……」
 静かに呟き、胸元で手を組み合わせた。皮製のグローブがググッとにぶい音をたてる。
 ひと時もおなじ姿を見せない星々。そのどこかに、彼はいるのかもしれない。そう思うと、零れる涙をとめることはできなかった。
 雪をかぶった森。木々がつくりだした広場にたたずむ彼は、静かに信ずる神へと言葉をなげかけた。
 耳が痛くなるほど語りかけてくる、雪に包まれた森の静寂。
 彼は祈りを終えると、毛皮のそででほおを拭った。冷えた毛皮が痛かった。
 闇の中に浮かぶ、折れた剣の墓標とむかいあう。
「おまえは、勇敢な戦士だった。数多の星に引けを取らぬほど、勇敢な……」
 胸元に手をあて、彼は今一度、天を仰いだ。ちいさな煌きが、ひとすじ、零れおちた。
 ザッと雪を踏みしめ、彼は広場を後にした。
 あとに残された剣が、かすかに輝いた。雪がつもり白く緑な森の静寂を帯びて、星々を見つめる剣。
 天空をすべるように流れる星が、そっと折れた剣を祝福した。




  ――あとがき

 空を見上げたら、星が奇麗でした。クリスマスで車が少なく、寒く、空が澄んでいたからでしょうか。星が……本当に奇麗でした。
 てことで、楓です。
 何か書けそうな気がしたので、物語のラストっぽいのを書いてみました。本当に突発的に書いたので、風景を思い浮かべてもらえればいいかな、程度の内容です。
 因みに、今回のものはかつてないほどの短さです。原稿用紙一枚半! 構想練りはじめてから書き終わるまでに、一時間もかかっていません。
 まあ、ショートくらいの長さのも書かなくちゃ……とは思っているんですけどね。
 では、また近いうちに。

  2005年12月25日 桜月楓

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